メニュー

コロダイと崎戸ネコチーム

[2024.08.06]

“コロダイば釣ってくるけんね”、と私は宣言し、妻はあまり喜んではいないようでしたが(コロダイは味が濃すぎるそうです)、私は意に介することなく、敢然と西海市崎戸町に向かいました。予定をした“とんぼ公園”の石積みの波止は先端付近が崩落しており、昼間はともかく、夜釣りでは危険を伴うと考え、崎戸町本郷の海峡筋を望む護岸に釣座を構えました(図1)。車が横づけできる楽々ポイントで、最小努力で、そこそこ釣果を目指す私に相応しい場所です。

図1:崎戸本郷(Google Earthより)

 

19時から釣り開始。最初に右45度くらいに投げた仕掛けにいい当たりがありましたが、乗らず。若干、落胆しながらも、この方向は魚の魚道かも、と肯定的に考えました。夜の投げ釣りは魚道に仕掛けを置いて、魚の捕食を待つ釣りですので、魚道を確信することができたら、宝を探り当てたようなものなのです、私のなかでは。

 

さっそく20時30分に右45度の竿にコロダイ38Cm。サイズ的にはもう一つでしたが、目的の魚が釣れて万歳でした。ぼーとしていると魚の血抜きをしていたバケツに何と野良ネコ様が突進していくではありませんか。夕刻から釣りを見物していた猫です。だめっちゃ、だめっちゃと制止する私。難なく撃退に成功し、お腹が減っているのだろうと忖度し、予備餌のキビナを与えた処、速攻で何処かに持っていきました。この時点でネコ様を懐柔しえたと思った自分の愚かを知るのは約3時間後になります。

 

潮どまり直前の21時30分に仕掛けを作り直している時にヘダイ38Cm。これも右45度の竿でした。ちなみにこのポイントは正面から左は着地地点が砂地でも潮に流されたり、あるいは、小当たりを放置している磯際に入られたりして、仕掛けが根がかりしてしまう、予測に反して難しい場所でした。

 

22時30分頃にドラグが素晴らしい勢いで滑走し、コロダイ50Cm。やっとコロダイと呼べるサイズが釣れて、夜空に哄笑する私。さらに右45度に仕掛けを投げた竿先がすこんと入って、コロダイ56Cm。図2は2尾のコロダイです。

図2:コロダイ50Cmと56Cm

 

この頃からネコ様の数がだんだん増えてきて、数匹になっています。それぞれ煩いくらいに鳴き交わしていますが、諍いをするでもなく、私の挙動を観察しているようでした。23時15分くらいにも大当たりがありましたが、海中の岩に潜られ、敗北。しかし、すぐにヘダイ40Cm。さらに三脚ごと吹っ飛ばす当りがあって、コロダイ40Cm。サイズに似合わぬパワーに感服し、針がかりの部位もよかったので、針をすぐさまに外し、ヘダイと一緒の写真を撮って、海にお帰り頂こうと考え、魚に背中を向けてバックの中でデジカメを探している時でした。何者かの崎戸のネコ様の気配を感じ、振り向くと草むらに向かって、走り去るネコ様を目撃。そして、存在したはずの、そして、海に戻れるはずであったコロダイ(およそ1Kg?)が消滅していました。その不憫なコロダイの生涯にしばし思いを馳せました。先ほどのネコ語を翻案すると次のようになります。

“あの男、わしらに油断しとるばい。隙だらけや”

“確かに。釣りを見ながら、真夏の夜を過ごしている可愛い猫と勘違いしとるばい。”

“わしら、チーム崎戸ネコの実力を見せてやろうぜ”

“そや、そや“

“思い知るのも時間の問題”

 

この事件をきっかけに不思議なことにネコ様はぱったりと姿を消しました。なかよく数匹でコロダイを食していたのかもしれません。この夜は右45度の竿に圧倒的に当りがありました。魚道は時に一定のこともありますが、基本的にはその日によって変化していることが多く、この点も釣りの考えさせられる所です。

 

帰り道、最初に灰褐色の野兎をみて、別々の場所でタヌキを見ました。タヌキはしばしば内臓脂肪型肥満として描かれますが、じつはスリムな体型をしています。タヌキのために強調しておきます。

 

夜はヘダイのアクアパッツァ(図3)とカルパッチョ(図4)に舌鼓を打ち、赤霧島のロックをがんがん飲んでしましました。釣りたての魚の晩餐はいつも最高、です。

図3:ヘダイのアクアパッツァ

 

 

4:ヘダイのカルパッチョ

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME