崎戸のチヌも天ぷらで
ふたたび寒波が襲来し、最低気温4℃、海辺では6m以上の強風が予測される3月下旬、ハムレットのように私は深刻な悩みに苛まれていました。釣りは強行するとして、どこに行くべきかと。当初は脇岬の護岸を予定していましたが、風速:10mの暴風が予想されており、初場所で夜から朝まで耐えられるか自信がなく、断念。いざとなれば車への退避が可能で、かつ、竿先の当りも観察できる車横づけポイントを釣り場所に決めました。最初に水深のある大島造船所に隣接する護岸に到着。護岸は本来の護岸の機能を発揮し、大きめの船舶が停泊していたため、私が入る隙間はどこにもありませんでした。20時10分頃に崎戸の護岸に到着。この場所の水深はおそらく満潮時でも3-4m程度で、外気温の変化に影響されやすいため、急に寒くなったこの日は、魚を期待できそうな雰囲気ではありませんでした。
竿先には当りがあると緑色から赤の点滅に切り替わる新兵器、LEDライトを装着していましたが、赤を点滅させるは風ばかり、の2時間が経過しました。ちっとも暖かくならない“貼らないカイロ”を両手に握りしめ、寒さを紛らわすべく護岸を徘徊していたその時でした。橋脚方向に投げていた竿がいきなり突っ込んだではありませんか?あなたは魚なのか?、と半信半疑に合わせを入れるとなかなかの手応え。チヌ:43 Cmが姿を見せました(図1)。私の釣りの目的は第1:魚を釣ること、第2:食材確保、なので、ほっとしました。もう帰ろう、夜は怖いし、ということで、納竿の準備を開始していた23時20分、ふたたび橋脚方向の竿が引きずられ、チヌ:45Cmがあがってきました(図2)。先ほどの魚より抵抗力は弱かったものの、サイズアップとなり、満足の一尾となりました。
図1:チヌ43Cm
図2:チヌ45Cm
今回の収穫は少なくとも5月下旬からの暖かい時期のポイントと考えていた崎戸の海峡筋が低水温時期でも期待できる場所と分かったことです。また、今年の海水温は平年より3度ほど低いのですが、魚は水温のみで行動を左右されるわけではなく、季節を鋭敏に感じとっている、ということも分かりました。なぜなら真冬の海水温でもチヌはちゃんと産卵のための行動を開始しているわけですから。おそらく日照時間、海藻の繁殖具合、季節特有の潮の流れなどから時期を判断しているのではないでしょうか。
チヌの天ぷらだけではなく、キスの天ぷらも食べたい、とでかけた2日後、大村湾で見事にぼうずを食らいました。釣りは難しい、です。安定してキスが釣れるようになるには、あと1月ほどを要するような気がします。