帯状疱疹ワクチン、受けたほうがいいのかな?
“帯状疱疹ワクチンは、接種した方がいいのでしょうか?”、“どちらのワクチンを選んだ方がいいのでしょうか?”―最近の外来で患者さんから受けることが多い質問です。2025年度より帯状発疹ワクチンの予防接種が定期接種の対象をなったことが、質問が増えた背景と思います。対象年齢は2025年度に65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 100歳となる方です。なお、2025年度のみ100歳以上のすべての人が対象となっています。
帯状疱疹ワクチンは受けたほうがいいでしょう。これが私の質問に対する答えです。帯状疱疹は水痘に感染歴がある人に発症してきます。すなわち、水痘の治癒後も水痘帯状疱疹ウイルスは脊髄後根神経節や脳神経に潜んでおり、免疫力の低下をきっかけに発症してきます。年齢がすすむにしたがって、発症頻度も増加していきます。帯状疱疹ワクチンの目的は帯状疱疹の予防、および運悪く発症した際の帯状疱疹による合併症の予防です。帯状疱疹は再発することもあり(5%前後)、過去に罹患歴がある人も予防接種の適応があります。
帯状疱疹の特徴は体の片側に生じてくる赤い発疹と腫脹で、疼痛を伴うことが殆どです。最も頻度の高い合併症は帯状疱疹後神経痛で、皮疹が改善後も疼痛が90日以上、持続する場合と定義されています。また、帯状疱疹後神経痛を合併した人の30%以上の人で1年後も疼痛が持続し、日常生活の質の低下につながることもあります。その他の合併症としては、眼部帯状疱疹(視力低下や眼球運動障害など)、皮膚細菌性二次感染、髄膜炎、顔面神経麻痺、脳炎などが知られています
帯状疱疹ワクチンは2種類があります。シングリックス(不活化ワクチン)とビケン(弱毒生ワクチン)です。発症予防効果および効果の持続性は明らかにシングリックスがビケンより優れており、一方、発熱などの副反応はビケンで低率です(図1)。また、長崎市において、定期接種対象者の自己負担金はシングリックスで高額です。
図1:帯状疱疹ワクチンの比較
かくいう私も近々、帯状疱疹ワクチンの任意接種を受ける予定です。
参考文献