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コーヒーと健康ーその急性効果ー

[2023.04.11]

午前の仕事、午後の仕事を始める前の準備として朝に2杯、昼に2杯のコーヒーを私は飲みます。コーヒーを飲むことで気合を入れなおす意味合いがあります。コーヒーや緑茶にはカフェインが含まれていますが、カフェインが健康に与える急性効果に関しては、殆ど知られていません。過去にはコーヒーには催不整脈作用があるのではないかという報告や、逆に糖尿病の発症頻度を低下させるという報告、あるいは長生きするかもしいれないという報告もあるようです。いずれも確定的な事実ではありません。

 

今回はコーヒー摂取が心房性期外収縮および心室性期外収縮の1日あたりの出現回数(注:期外収縮とは先行する2心拍の間隔より早いタイミングで出現する不整脈です。心臓病がない方でも24時間心電図を記録すると必ず認められるといってもよい不整脈です)、1日あたりの歩数、睡眠時間、および血糖値に及ぼす急性効果について検討した論文を御紹介します。

 

平均年齢:39歳と比較的に若い100人の成人が研究の対象となっています。14日間の間、それぞれの人が、2日間のコーヒーを飲む期間、その後の2日間のカフェインを摂取しない期間を繰り返し経験し、その間の心電図の連続記録が行われています。すなわち群わけされているわけではないため、同じ人がコーヒーを飲む日と飲まない日を指示に従って、経験するわけです。

 

結果。コーヒーは心房性期外収縮の出現には影響を与えませんでした(コーヒー摂取:58心拍/日 vs. カフェイン非摂取:53 心拍/日)。一方、コーヒーは心室性期外収縮の個数を増加させました(154 心拍/日 vs. 102 心拍/日)。特にコーヒーを1日あたり2杯以上、飲むと心室性期外収縮が増加しました。1杯なら影響はありませんでした。また、コーヒーを飲んだ日は歩数が多くなり(10,646歩 vs. 9665歩)、睡眠時間が短くなりました(397分 vs. 432分)。余談ですが私は眠ってはいけない時に限って、眠くなったりします(運転中を除く)。困ったものです。コーヒー摂取は血糖値には影響を与えませんでした。

 

この研究は対象年齢が若く、あくまでもコーヒーの急性効果を見たものですので、習慣的な長期のコーヒー摂取が健康に与える効果は定かではありません。ただ、こんな身近な飲みものについても、まだ分からないことがたくさんあって、解明の先鞭をつけたという点で貴重な研究であり、おもしろいな、と思いました。

 

参考文献

N Engl J Med 2023;388:1092-1100

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