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心臓病と運動

[2021.06.08]

心臓病で救急入院した患者さんの安静度は当面、絶対安静、という時代がありました。その結果として、病いは治れど腰立たず、といったことも時に認められていました。最近の20年間の心臓病の進歩の一つとして、心臓リハビリテーションが注目されています。その目的は日常生活へのすみやかな復帰と、心肺機能を安定した状態に保ち、再発あるいは再増悪を予防することです。心臓リハビリテーションは、リハビリという言葉から連想される運動療法だけではなく、最適な治療の選択(手術、薬物治療など)、患者さんの病気や治療内容に対する理解の手だすけ、食事指導(減塩と摂取カロリーの決定)などの多面的な要素から構成され、スタッフも医師、看護師、理学療法士、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種が参加します。心臓リハビリテーションの開始時期は入院早期(急性期)からの介入が推奨されています。なぜなら、心臓病の入院患者さんも急速な高齢化がすすんでいるため、病気の程度に応じた運動を早期から開始しないと簡単に寝たきりになってしまい、日常生活への復帰のめどがたたなくなるためです。

 

入院中の患者さんに対する退院後の最適な運動療法は、可能なら心肺運動負荷試験を行って、決定します。一方、患者さんの病態は可変的であるため、入院中に決定した運動処方が適当かどうかに関しては、定期的に患者さんを診察して検討していく必要があります。

 

すべての心臓病患者さんに対して、心肺運動負荷試験を行うことは、人と時間を要し不可能です。私は外来に通院できる患者さんに関しては、自覚症状と脈拍数のふたつの指標から無理のない運動をお勧めすることにしています。自覚症状の指標としては、Borgスケールがあり、Borgスケール11(楽である)~13(ややきつい)が適当とされています。あるいは、少し息が弾む程度の運動が望ましい、といえるでしょう。脈拍数に関しては、脈拍数:110未満の運動が推奨されます。運動時間は病気の重症度にも依存しますが、1日当たり10分×2回から15~30分×2回程度がよいでしょう。頻度は週に4回以上が適当です。きついと感じる日には控えたほうがいいでしょう。

 

運動の種類は有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)があります。有酸素運動としては、ウォーキング(できたら速足で)、自転車こぎ、体操などがあります。心臓病の患者さんの筋トレは低強度が望ましく、椅子からの立ち上がり、座位でももをあげる、膝をのばすなどの運動があります。

 

それまで無理なくできていた運動が、息切れや胸痛などできつくなってきたときーそれは、心臓病の増悪の可能性があるため、間を置かず、かかりつけの医療機関を受診することが必要です。

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