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糖尿病、必ず眼科受診をお願いします。

[2021.03.02]

2016年の国民健康・栄養調査では、糖尿病が強く疑われる人:約1000万人と推計されており、糖尿病は現代の国民病ともいわれています。糖尿病の本質は血管の病気と捉えることができます。糖尿病は微小血管から大血管までいろんな大きさ(血管径)の血管を傷害します。大血管障害の代表的な病気は急性心筋梗塞や脳梗塞などの緊急での入院治療が必要な病気です。糖尿病性網膜症は糖尿病による細小血管障害の代表的な合併症です。

 

糖尿病の患者さんを診察していて、気づいたことがあります。“眼科を受診していますか?”と尋ねるとほぼ例外なく、きょとんとした表情をされる人が多いのです。“自分には目の症状はないのだけれど、なぜ眼科を受診しなければいけないのかな”、という思いがあるのでしょう。その思いは十分に理解できますが、実は誤った考え方なのです。なぜなら、糖尿病患者さんに目の症状が出現したときはすでに病気の程度がかなり進行していることが多いためです。

 

中途で失明する眼科的な原因疾患の第3位は糖尿病性網膜症であり(1位:緑内障, 2位:網膜色素変性症)、毎年約3000人の方が視力を失っています。高血糖による微小血管の閉塞→新生血管の増殖、新生血管からの出血、新生血管による網膜の牽引による網膜剥離などが糖尿病での視力障害がおこる仕組みです。治療の選択肢は病期、病態に応じて、レーザー光凝固、血管新生を抑える薬の硝子体への注射、硝子体手術などがあります。

 

強調したいこと。糖尿病の患者さんは、眼の症状がなくとも、必ず眼科を受診して下さい。そして、眼科の医師のアドバイスに従って、個々の患者さんに適した受診間隔で(1年に1回、3月に1回など)、眼科を受診することが、網膜症の早期発見、早期治療には不可欠だといえるでしょう。

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