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血圧の季節変動

[2022.11.15]

本格的な冬の到来を予兆するかのように、10月以降、高血圧の患者さんの血圧値にも変化が表れ始めました。それまで安定していた血圧が上昇傾向に転じる人が多くなってきたのです。そのため新たに降圧薬を追加したり、夏の間は減量あるいは中止できていた降圧薬を元に戻したり、と処方の面でも細かな配慮を行うようになりました。

 

日本のHOMED-BP studyに依ると、血圧は1月中旬から下旬に血圧は最高値となり、7月下旬から中旬に最低となるという季節変動を報告しています。季節の中で最も高い血圧と最も低い血圧の差は、収縮期血圧で6.7 mmHg、拡張期血圧で2.9 mmHgでした。ほんの数mmHgじゃないか、と思う人もいるかもしれませんが、わずかな血圧上昇でも心血管疾患の発症リスクが高まることは、よく知られた事実です。血圧の季節変動は男性が女性より大きく、また、高齢になるほど、肥満度指数が低値になるほど(やせ型になるほど)、大きくなりました。

 

外気温が低下すると体温を維持するため(放熱を小さくするため)、血管が収縮することが、冬季に血圧が上昇する有力な理由です。また、冬に塩分摂取量が多くなりがちな点も一因と考えられます。

 

血圧の季節変動を把握することは、冒頭で述べたように、適切な薬物治療に直結するため、家庭血圧記録の重要性をふたたび強調しておきたいと思います。

 

参考文献

Hypertension Res. 2017; 40: 284-290

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