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高血圧ガイドライン2019

[2019.05.17]

2019年4月25日に高血圧ガイドライン1)が5年ぶりに改訂されました。60歳以上の日本人での高血圧の有病率は、男女ともに60%を超えており、高血圧は極めて身近な病気です。ここでは新しいガイドラインでの高血圧の診断基準と降圧目標値に関して、述べたいと思います。

 

高血圧の診断基準は5年前と変わりはありません。すなわち、診察室血圧では収縮期血圧(上の血圧):140 mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧):90 mmHg以上のいずれかに適合すると高血圧と診断されます。血圧は極めて変動しやすい指標ですので、診察室血圧は少なくとも2回以上の異なる時期に測定することが必要です。一方、家庭血圧での高血圧の基準は、収縮期血圧:135 mmHg以上、拡張期血圧:85 mmHg以上です。家庭血計はすでに4000万台以上が普及していますが、上腕で測定する機種がガイドラインでは推奨されています。

 

降圧目標は年齢により大別されています。75歳未満での診察室血圧での降圧目標は<130/80 mmHgで、75歳以上の降圧目標は<140/90 mmHgです。5年前のガイドラインに比べて降圧目標値はより低く設定されています。なお、年齢だけではなく、糖尿病の有無やタンパク尿の有無などにより降圧目標は異なってきます。

 

最後に今回のガイドラインの改定では、高血圧に準じて注意を有するグループとして、”高値血圧”が設定されました。診察室血圧での高値血圧は収縮期血圧:130 - 139 mmHg、拡張期血圧:80 – 89 mmHgです。5年前のガイドラインでは”正常高値血圧“とされていたのですが、”正常”が外れました。高値血圧の方で、脳血管障害または心筋梗塞の既往のある方、糖尿病を合併している方などは、生活習慣の改善を行ってもなお高値血圧に留まる方は、降圧薬の投与も考慮されることになります。

 

注1:ガイドラインとは過去の重要な知見に基づいており、臨床医の診断と治療の重要な指針となります。医学も日進月歩の領域なので、ガイドラインは常に更新されることが求められます。逆に5年以上、更新されていないガイドラインに関しては、懐疑的に私は接するようにしています。

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