無呼吸の症状とタイプ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状は、いびき、不眠、夜間頻尿、日中に眠たくなる(日中傾眠)、および集中力の低下など多彩です。時に日中の眠気により交通事故の誘因となることが知られています。また、SASは動脈硬化を促進すること、および心機能に対して抑制的に働くことも知られています。肥満とSASは深い関わりがありますが、日本人などの東アジアの人々は、下顎が小さいため、非肥満者でも後述する閉塞性睡眠時無呼吸を合併しやすいことが知られています。
SASは閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(CSA)のふたつのタイプに分けられます。OSAは睡眠中の上気道の閉塞により、呼吸運動はしていますが、空気が肺に入っていかない病態です。一方、CSAは脳からの呼吸指令が中断することにより、呼吸運動そのものが停止し、換気が得られない病態です。CSAは重症心不全などに伴って二次的に出現するのに対して、OSAは一次的に心臓と血管を傷害する作用があることが明らかとなっています。
SASの診断と重症度は、無呼吸低呼吸指数(AHI)に基づいています。AHIは睡眠ポリグラフィーという検査で知ることができる指標で、1時間あたり出現する10秒以上の無呼吸の回数と低呼吸の回数の総和です。AHIが0 – 4.9回/時間:SASではない、5.0 – 14.9回/時間:軽症SAS、15,0 – 29.9回/時間:中等症SAS、30回以上/時間:重症SASとされています。