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夏の注意点ー高血圧と糖尿病ー

[2021.08.03]

本格的な夏となって、炎天下での運動や作業のために、脱水症状で受診する人が多くなってきました。高血圧と糖尿病の患者さんに関しても、夏季特有の注意点がありますので、その点について述べてみたいと思います。

  1. 高血圧:血圧が日内変動を示すことはよく知られていますが(夜間は降圧し、起床後に血圧が上昇する、など)、季節変動も見過ごすことはできません。夏季は血圧が下がりやすい傾向があります。水分と塩分が高温のために失われやすい、血管が拡張し、血管抵抗が低下するなどの機序が、夏の血圧低下には関与しています。このことをよく承知している患者さんもおられて、“暑くなってきたので、薬を減らせませんか”と診察室で提案されることもあります。高血圧の患者さんにとって、夏は過降圧の心配がある季節といっていいでしょう。実際に夏の間は降圧薬を中止できたり、減量できたりできる患者さんは少なくありません。過降圧の症状としては、ふらふらする、立ち眩み、体がだるい、などがありますが、症状がなくとも過降圧している方もいます。すなわち、家庭血圧を記録することが、自身の血圧の季節変動を知り、適切な治療を受けるためにも重要であるといえるでしょう。
  2. 糖尿病:夏になって、気づいたことがあります。ヘモグロビンA1Cが少しだけ上昇している人が多いのです。体重はあまり変化していないことが多いようです。これには、夏の暑さが一部、関係しているように疑われます。患者さんに思い当たることはないかを聞いてみると、暑いので果物(特にスイカ)を普段よりたくさん食べてしまった、ソフトドリンクをよく飲んだ、などの答えがしばしば返ってくるからです。主食、麺類や甘味系には注意を払うけれども、不思議と果物を抵抗なく食べてしまう人がいますが、適量をとりましょう。ジュース類はもちろんスポーツドリンクにも糖分が入っているので、たくさん飲むと糖尿病のコントロールは悪化します。糖尿病の方は喉が渇いたら、お茶やミネラルウォーターを飲み、熱中症の心配があるような環境下でしたら、水500mLにつき2gの塩分でいいでしょう。

 

注1:過去1-2か月の平均血糖値を反映し、糖尿の診断や血糖コントロールの状態の重要な指標です。一般的に糖尿病患者さんでは7.0%未満が糖尿病の合併症を予防するための目標値とされることが多い指標です

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