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大島町の護岸にてースズキに会うー

[2023.10.10]

長すぎた夏の季節がようやく終わり、私にとっては勝負の10月、11月となりました。いったい、何の目的で、どなたと勝負?もちろん、冬に備えて体力強化をもくろみ活発に捕食活動に入る魚たちと、そんな彼(女)らを迎えうち、あらまで食べつくしたいともくろむ私との勝負です。

 

以前から気になっている西海市大島町の護岸がありました。そこは眼前に寺島水道を臨む海峡域で、たくさんの魚の交通路になっているに違いないと踏んでいたからです。到着した時はすでに陽が落ちかけていましたが、護岸は餌木で水イカを狙う人やさびき釣りの人で賑わっていました。この日の潮廻りは長潮と潮位差が低く緩慢な潮で、潮時は満潮:18時27分と翌日の5時47分、干潮:翌日の0時23分でした。初めての場所なので、最初に仕掛けをつけずに天秤(錘)だけを投入して、正面、右45°と左45°の方向の海底調査。大部分が砂底で、仕掛けがひっかかる心配は殆どなさそうです。2本目の仕掛けの準備が完了した時に1本目のリールから道糸が引き出されていき、びっくりして早合わせをしたためか、魚は乗りませんでした。変化のない海底だったため、少し心配でしたが、射程範囲に魚が廻ってくることが、この失敗で確信できました。

 

19時を過ぎるとすっかり陽は落ちてしまい釣り人たちも三々五々と帰っていきました。代わって50歳代と思しき男性が、護岸の角に構えて、ルアーで魚を狙っています。夜のルアーなので、スズキ?、太刀魚?、気になります。私はその後もいい当たりをもらっていましたが、ことごとく外していました。なんで?、です。そして、20時頃に、ついにその時は訪れました(とその時は、思っていました)。竿先が海面に向けて深く屈曲した時にばっちり合わせた魚は、重量感たっぷりで、抵抗も強く、大型魚は間違いありませんでした。リールがきしむ音に気づいた角の男性も駈け寄ってきます。私は体力の限界まで頑張りました。しかし、上がってきた魚は幅広くて、長い尻尾のある魚。“エイたい、残念やったね”と言い残し、男性は角に去っていきました。エイは水族館で見る分にはいいのですが、釣魚としては容姿が地球外生物のようで、エイヒレは確かに酒のつまみとしてはすばらしいのですが、持って帰ってヒレだけをあぶって食べても、残りの巨大な図体はどうするの?、ということになるため、結論は明白であり、海にお帰り頂きました。

 

そんな私を慰めるように落胆の20分後に、がっつん、がっつんという当たりに続いて走り出した魚は、チヌ:38Cmでした。鼻筋に青みがかかり、体色は銀色を帯びて、背びれと胸びれも立派な回遊系のチヌです(図1)。これで獲得魚なし、という絶望を逃れることができて、一安心です。その後はいくらか余裕をもっての釣りのはずでしたが、この日は合わせのタイミングが完全にずれていて、3回も道糸が突っ走るすごい当たりをもらっていましたが、悉く外してしまいました。もう泣きそうです。

 

図1:チヌ38Cm

 

22時頃にルアーの男性が帰ってため、速効で護岸角から右30°の方向に仕掛けを投入。その方向に磯場があることを日没前に確認していたからです。思惑通りに程なくして道糸が引き出されていきます。竿が上下に大きく振幅を繰り返し、無駄な動きが多い魚と思われ、少なくともタイ系統の魚ではないようです。ひょっとしてまたエイ?、と不安がよぎります。中程度の抵抗をみせて、水面で激しく頭を振る魚は、スズキでした。長崎のスズキは美食家なのか、基本的に小魚を食しているようで、虫エサを食ってくることは少なく、投げ釣りで釣れたという話を私はほとんど聞きません。釣れたスズキは精悍な顔立ちで、体高もあって、美しい魚体でした。簡易計測では長寸:66 Cmでした(図2)。

 

図2:久方ぶりのスズキ66Cm

これで少なくとも3日分の食料を確保できたため、撤収してもよかったのですが、初めての場所なので満ちこみの時相も釣ってみることにしました。0時30分にまたまたまたまたまた、竿が突っ込む当たりがあり、この時は不運にもなかったはずの根(岩)でハリス切断。地形変化を見落とした自分のせいなのに、やってられねえ、と独りごちし、車で仮眠し、午前3時過ぎより再開。小当たりで、小チヌがきたのみで(4年後の再開を約束し、放流)、寂しい時間が経過しました。日の出直後にまた×6の大当たりがありましたが、また×6、すかしてしまいました。失敗続きでもう満腹です。

 

午前5時頃に地元の方が出勤前に餌木を短時間、投げて、いいサイズの水イカを釣り上げていました。やはり地元の人には敵いません。帰り際に大島造船所の人(たぶん)がぶらりと訪れて、”昨日、見とったけど、まさか朝まで釣るとは思わんやったばい“、とお褒めの言葉を頂きました。

 

潮流が緩いはずの長潮でしたが、けっこう仕掛けが右に流されていたため、例えば大潮の時などは投げ釣りでは釣りづらいかも、と思いました。図3は日の出直後の寺島海峡です。釣り終えたばかりなのに、また釣りたくなるような潮目が幾筋も出現していました。きれいな海はいいですね。

図3:早朝の寺島海峡

 

夜はスズキnightで、カルパッチョとアクアパッツァを妻があしらえました(図4)。スズキの身がしっかりしていて、かつ、肉厚で美味であり、アクアパッツァのスープにつけて食べるパンがまた絶品でした。

図4:スズキクッキング

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