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今年の夏風邪の主役は?ー正しい鼻咽頭ぬぐい液の採取方法も含めてー

[2023.08.08]

今年の夏風邪の主役は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)です。7月の発熱した人および咽頭痛、咳などの上気道の感染症状を認める人に対するコロナ抗原定性検査の陽性率>50%でした。季節を問わず感染が拡大しえる新型コロナウイルスの面目躍如といったところでしょうか。症状も微熱だけ、鼻かぜだけという軽い人から、40℃近い発熱を認める人まで幅広く多様であり、現在、COVID-19の決め手となるような症状はないと思います。なお、当クリニックでは幸い肺炎に至るような重症の患者さんは経験しませんでした。重症化リスクが低くなったことに関しては、複数回のワクチン接種を受けた人の頻度が高いためと推測できます。

 

一方、さしたる病気がない人、元気な人にとってはCOVID-19がやや重い風邪程度で済むとしても、もともと心臓病などを合併している人、免疫能が低下している御高齢の人に感染すると、心不全や肺炎を起こしてくるリスクは依然としてあります。よって、元気な人もコロナウイルスに感染しないような注意が必要です。注意点としては、

  1. コロナウイルスに感染しているかどうか不明な場合:発熱があるときは、大勢の集まりや仕事を見合わせましょう(中には発熱を押して出勤する人もいるようです)。発熱がなく、上気道の症状のみのときは、できたらかかりつけの医師の意見を求めたほうがいいでしょう。
  2. COVID-19を発症している場合:行政文書では” 発症後5日を経過し、かつ、症状軽快から24時間経過するまでの間は外出を控 えていただくことを推奨するとともに、その後も10日間が経過するまでは、マ スク着用やハイリスク者との接触は控えていただくことを推奨する” となっています(参考:pdf (mhlw.go.jp))。
  3. 医療機関、介護施設でマスクを着用しましょう。ご高齢の方と話しをするときもマスクを着用してください。感染弱者の頻度が高いためです。

 

最後に抗原検査キットで自ら検査をする方も増えています。コロナ抗原検査:陰性は新型コロナウイルスに感染していないことを必ずしも意味しません。ひとつは発症からの時間経過が重要で、発症後数時間~12時間以内で検査する場合は、まだウイルス量が少なく、陰性となる場合があります。また、鼻咽頭ぬぐい液の採取の過程でのエラーもあります。自己抗原検査:陰性の方でも、クリニックで再検査すると陽性となる場合が少なくありません。実際、医療従事者ではない方が正しく試料を採取することは、意外と難しい、と思っています。正しい試料採取のポイントを箇条書きにしてみます。

  1. 顔をやや上向きにします。
  2. 試料を採取するための柔らかい綿棒をゆっくり鼻腔から挿入します。抵抗があったときはやや方向を変えて挿入するか、反対側の鼻腔から挿入しましょう。
  3. そのままゆっくり進めると咽頭後壁(のどの壁)に接触します。軽く接触を保ったまま約10秒間そのまま綿棒を保持してください(この点が陽性率をあげるポイントと私は思います)。
  4. 回収するときは綿棒を複数回、回転させながら、ゆっくり引いて行って下さい。
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