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ポリファーマシ―とは?

[2021.09.27]

ポリファーマシ―という用語を御存じでしょうか?日本語訳では多剤服用となります。厚生労働省の資料では、” ポリファーマシーは、単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリ スク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態”と定義されています。もう少し分かりやすく述べると、ポリファーマシ―は多剤の服用に伴う次のようなリスクを表している用語といえます。

  1. 薬の間での相互作用で本来の効果が強調されたり、逆に効果が弱まったりする。
  2. 多剤の内服に伴って副作用の種類が多くなり、かつ、副作用が出現する頻度も増加する。
  3. 服薬アドヒアランスの低下とは、医師の求め通りに服薬ができていない状態をいいます。服薬忘れ、服薬数の誤り(例:5種類服薬すべきところを3種類しか服薬しなかった)、用量の誤り(例:倍量を服用してしまった)などが代表的な事例です。

 

”多剤”の服用が何種類からかという定義はありませんが、一般的には6種類以上の薬を服用した場合に用いられることが多いようです。1-3種類の服用例に比べて、6種類以上の服用例では薬に関連する有害事象の頻度が増加することが知られているためです(図を参照。厚生労働省の資料より抜粋しています)。ポリファーマシ―を避けるために、患者さんが心がけたほうがよいこと、および私が自戒していることを列挙してみます。

 

患者さんが心がけたほうがいいこと.

  1. 自分の病気を知り、なぜこの薬をのまなければいけないのか(治療が必要な理由)、ということを十分に理解することが基本になります。それは医師との共同作業である面もあります。治療の必要性が分かれば、例えば飲み忘れなどの頻度も減るだろう、と思います。
  2. お薬手帳を携行し、診察の際にはすぐに提示できるようにしましょう。複数の医療機関を受診している場合、医師は他の医療機関での処方の内容をお薬手帳を見ることによってしか知ることができないのが現実です。同じような効果の薬が処方されたり、あるいは、相互作用が問題となる薬が処方されたりすることを避けるためにも、お薬手帳の提示は重要です。
  3. 同じ内科系の病院、クリニックを複数、受診されている方がおられます。かかりつけ医を一つにできないかを検討してみましょう。私自身の経験に即していうと、心臓病に関しては、病院で診察を継続しなければならない不安定な外来患者さんは殆どおられません。そのため勤務医の頃は、基本的にはかかりつけ医にふだんの診察をお願いし、病院の外来では3-6月、あるいは1年ごとの患者さんの状態チェックを行う方針にしていました。
  4. 薬の仕分けケース(曜日や服薬タイミングが記されています)の利用を考えてみてもいいでしょう。

 

私が心がけていること。

  1. 先の患者さんの心がけに呼応していますが、病気の本質と治療が必要な根拠を患者さんには知っていただきたいなと思っています。外来の短い時間での説明では不十分な面もあるかもしれませんが、病気や治療内容に関して、知りたいことや疑問があったら、ためらわず私に説明を求めて下さい。
  2. 処方内容の見直し。本当に必要な薬を処方されているのか、必ずしも必要ではない薬が処方されていないかを、吟味するようにしています。

 

最後に糖尿病や高血圧があって、心筋梗塞を発症してしまうと、心臓病の薬(抗血小板薬や心保護薬など)も加わるため、どうしても薬の種類が増えてしまうことは否めません。生活習慣病の患者さんに関しては、自身の病気を適切にコントロールすることにより、脳梗塞や心筋梗塞などの血管障害を予防することが、ポリファーマシ―も予防することにつながると思います。

参考URL: 0000194792.pdf (mhlw.go.jp)

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