健康ダイエットー太りすぎないためにー
適正なカロリー摂取、減塩:成人男性,6.5g/day, 成人女性<6.5g/day, 高血圧患者<6g/day、コレステロールの過剰摂取を控える、節酒:純アルコールとして≤20g/dayが動脈硬化性の心血管疾患の発生頻度を減らし、健康を維持する食事と考えられます。その中でも今回は太りすがいないための食事の方法に関して、考えてみたいと思います。なお、適正なカロリーの計算は、目標体重を決めて、それに労作の程度に対応する係数を乗ずることによって得られますが(例:大部分が座位の仕事だと25-35Kcal/Kg×目標体重)、食品のカロリーを計算しながら食べられる人は少ないと思いますので、簡便な方法を提案してみたいと思います。
太りすぎないための食事方法
- 体重を毎日、計りましょう。そして、食事量の調整に役立てましょう。食べ過ぎると体重に反映されるため、毎日の食事内容の決定に役立つものと思います。肥満度指数(BMI)(注1を参照):21-25Kg/m2が目標体重の目安となります。BMI:30 Kg/m2の人はまず、-3%の減量を目標とし、段階的に体重を落としていきましょう。なお、40歳以上の日本人では、男女ともにBMI:18.5 Kg/m2の人では、明らかに健康を害しやすいため(1)、極端なダイエットは禁物です。
- 1日3食,食べましょう。多忙で、肥満している方の中には、1日1食、夕食のみしか食べない方が散見されます。
- 夕食と就眠までの時間は2時間, あけましょう。
- 間食をしないようにしましょう。また、糖分を含んだ飲料水も避けましょう。3食以外に余分なカロリー摂取をしない、という点で、重要です。
- 野菜を最初に食べましょう。野菜を最初に食べることで、ある程度の満腹感が得られます。
- 咀嚼回数を多めにしましょう。飲み込むような食べ方は厳禁です。
- 炭水化物では、食後の高血糖を起こしにくい食品(グリセミック指数が低い食品)がいいでしょう。これは以前にも書きましたが、白米より玄米や五穀米が、食パンよりライ麦パンが、うどんよりそばが、食後の高血糖を起こしにくい食品です。
- 運動で体重を減らすという考え方は間違いなので、捨てましょう。運動は太りにくい体つくりに有用ですが、運動だけでは体重は減りにくいのです。たとえば、ごはん茶碗軽く1杯で240Kcalですが、これを速足のジョギングで消費するためには、約1時間歩き続けなければなりません。運動の本来の目的は抗動脈硬化作用(血圧の低下やインスリン感受性の改善など)と筋力、筋量の維持と向上です。
最後に食事の見直しだけで、糖尿病コントロールが著明に改善した方を御紹介しましょう。
その経過を図に示しています。患者さんは当院を初診した時に、ヘモグロビンA1C(過去1-2月の平均血糖値を反映し、6.0%以上だと糖尿病を疑ってきます):12.3%と極めて高値でした。患者さんは食事に関して、1.間食を中止; 2.野菜を大目に摂取; 3.米飯を麦飯へ変更; 4.砂糖入りコーヒーをブラックコーヒーへ変更などの改善を行いました。その結果、約4月間でヘモグロビンA1Cは5.2%と正常化し、2種類の糖尿病の薬(メトホルミンとリナグリプチン)も中止することができました。私も感動したすばらしい経過でした。
注1: 肥満度指数(BMI) = 体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)
例:わたしの場合:身長1.83m, 体重76Kg; BMI=76÷1.83÷1.83=22.7 Kg/m2
参考文献
- Obesity 2008;16:2348-2355
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