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オンライン学術集会

[2020.08.11]

9月、10月は通常の年でしたら、医学の学術集会(以下、学会と略します)が目白押しとなる季節です。学会で開催されるセミナーやシンポジウムを通して現在の医療(私の場合は、心臓病の診療)の課題、方向性を知ることができますし、日々の診療で研鑽、研究してきた結果を検証してもらう場としても、学会は極めて重要です。また、多忙すぎる日常の息抜きの場としても機能していて、学会が開催される土地での酒や食に触れることは愉しみのひとつといえるでしょう。例えば北海道で食べるジンギスカンは、やはり、北海道ならでは、であり、新潟のすしのしゃりも新潟ならでは、と痛切に思います。

 

しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は学会のあり方を一変させ、開催そのものが断念された学会もいくつもあります。学会は3密の条件をすべて満たしているためです。そのため、オンラインでの開催に舵をきった学会があります。私が最近、視聴してみた学会は第117回内科学会講演会(8月7日~9日)と第84回日本循環器学会学術集会(7月27日~8月2日)です。

 

内科学会に関しては、アクセスが集中したためか、開催期間中はweb配信に一度も接続することができませんでした。内科学会の会員数は10万人以上であり、会員数の多すぎる学会はオンライン配信での工夫が必要なようです。一方、循環器学会に関しては、事前によく準備されていました。学会の開催前から北海道大学大学院医学研究科衛生学教室の西浦教授と京都大学iPS研究所長山中伸也教授のCOVID-19に関する対談で世間の耳目を集めていました。私も視聴しましたが、西浦教授の“COVID-19とのたたかいは数年続くだろう。現在は野球に例えると2回の表で、コロナウイルスが攻撃している段階”という見通し、および山中教授の“COVID-19患者への差別や偏見はあってはならないこと”という言葉が心に響きました。学会後にも視聴できるオンデマンド配信もキーワードによる検索が容易に可能なので、関心のある演題について、順次、視聴していきたいと考えています。総じて今回の循環器学会は新しい地平を切り拓いた、といえるように思います。

 

オンラインでの学術集会は、その後のオンデマンドの視聴も含めて、診療を休まないと学会に参加できない医師(クリニックの医師はその典型例です)にとって、大きな福音となる可能性があります。COVID-19が終息後の学会はライブとオンラインの長所が融合した魅力のあるものへと発展することを願ってやみません。

 

参考URL

https://www.youtube.com/watch?v=BIinba7Rd58&feature=youtu.be

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