エピペンとアナフィラキシー
エピペンという治療薬を知っていますか?エピペンはアドレナリン自己注射薬であり、アナフィラキシーの患者さんにとって、常に携行していることが望ましい治療薬です。アナフィラキシーとはアレルギーの原因となる物質に生体が暴露されてから、複数の臓器に数分から数時間以内に出現してくるアレルギー反応で、時に生命の危険を伴うこともあります。血圧低下または意識障害を伴う場合を、アナフィラキシーショックといいます。以前、仕事柄、蜂に刺される機会が多い職業の方で、蜂に刺されるたびに呼吸困難と胸痛が出現し、救急受診していました。そのような方はできたら職業を変えることが望ましいのですが、それが無理な場合、エピペンは必須です。
症状:アナフィラキシーの症状は皮膚症状、呼吸器症状、循環器系の症状、および消化器症状です。アレルギーの原因物質に曝露してから、二つ以上の臓器の症状を認める場合、あるいはショック状態になった場合に、アナフィラキシーと診断されます。
皮膚症状:蕁麻疹、膨疹、眼瞼腫脹など。
呼吸器症状:呼吸困難、息苦しさ、咳、喘鳴など。
循環器症状:血圧低下、頻脈、胸痛、意識障害など。
消化器症状:腹痛、嘔吐、下痢など。
誘因:アナフィラキシーの誘因としては、食物(鶏卵、乳製品、小麦、そば、ピーナッツ)、薬剤(抗菌薬、解熱鎮痛薬、抗腫瘍薬などさまざま)、造影剤、輸血、蜂刺などが代表的です。
治療:アドレナリン第一選択です。アドレナリンは感作された免疫細胞(肥満細胞や好塩基球)からのヒスタミンなどの炎症をおこす物質が放出されることをブロックし、病態を改善させます。成人での用量は0.3-0.5mgで、大腿部中央の前外側に筋注します。効果が
なければ、5分-15分ごとに繰り返し投与する事もあります。第2選択薬は抗ヒスタミン薬です。
エピペンはどんな時に使う?:アナフィラキシーの症状が出現したら、医療機関を直ちに受診しなければなりません。エピペンはそれまでの間、症状を緩和し、重症化の速度を遅くするために用いられます。エピペンの投与におり82.2%の患者さんで症状の改善が得られています。急速に症状が悪化するときもあるため、躊躇なく使用したほうがいい、と私は思います。意識障害がある時はご家族の方や職場、教育現場の方が患者さんの代わりにエピペンを使用することもあるでしょう。エピペンを用いるべき症状に関して、Mylan社のHPより図を引用しましたので、ご参考にしてください。
参考
アナフィラキシーガイドライン(一般社団法人 日本アレルギー学会): https://anaphylaxis-guideline.jp/pdf/anaphylaxis_guideline.PDF
エピペンサイト:https://www.epipen.jp