高血圧管理・治療ガイドライン2025の要点
高血圧管理・治療ガイドラインが6年ぶりに改訂されました。本稿では医師だけではなく、高血圧の患者さんも把握していた方がよいと私が考える高血圧管理・治療ガイドライン2025の要点を説明したいと思います。
- 血圧値の分類:図1に血圧値の分類を示しています。2019年のガイドラインとの変更点はありません。
図1:血圧値の分類
高血圧の基準は収縮期血圧では診察室血圧(≒外来での血圧):140 mmHg以上、家庭血圧:135 mmHg以上です。拡張期血圧では診察室血圧:90 mmHg以上、家庭血圧:85 mmHg以上です。血圧は診察室血圧と家庭血圧の値から持続性高血圧、仮面高血圧、白衣高血圧、非高血圧に分類することができます(図2)。このうち持続性高血圧と仮面高血圧は薬物治療も考慮されます。血圧は変動性が大きいため、高血圧と診断後の治療効果の判定や血圧値の経過観察において、家庭血圧が優先されます。
図2:血圧の4つのタイプ
- 降圧目標:ガイドライン2025がガイドライン2019に比べて、降圧目標に関する重要な変更がありました。ガイドライン2019では年齢などで降圧目標が異なっていましたが、ガイドライン2025では年齢や合併疾患の有無を問わす、下記のように統一されました。
診察室血圧<130/80 mmHg
家庭血圧<125/75 mmHg
一方、過降圧の症状(ふらつき、立ちくらみ、倦怠感など)や腎機能の増悪などを認める場合は、降圧目標を上方に修正したり、降圧薬の種類を変更するなどの必要があるでしょう。
また、75歳以上の高齢の方に関しては、日常生活での身体能力によって、降圧目標が異なってきます。例えば外来通院に介助が必要な方の収縮期血圧<140 mmHg、および外来受診が困難となった方の収縮期血圧<150 mmHgを基本的な降圧目標としています。
- 生活習慣の改善
- 減塩:2023年の調査結果では、日本人の食塩摂取量は男性:7g/日、女性:9.1g/日でした。高血圧患者の減塩目標は6g/日未満で、以前の基準と変わりはありません。
- カリウム摂取量を増やす:減塩に加えてカリウム摂取量を増やすことにより、減塩単独よりも降圧効果が期待できます。この目標を達成するために、野菜:1日350g、果物:1日200 g、飲料:乳製品、緑茶など組み合わせてを摂取することが推奨されています。換算糸球体濾過量:45mL/分・73m2未満の慢性腎臓病ではカリウム摂取量そのものを、糖尿病では果物摂取量を個別に医師が調整することが求められます。
- 運動:運動と減塩は車の両輪です。運動時間は有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)では毎日:30分以上、レジスタンス運動(筋トレ:スクワット、腕立て伏せなど)では毎日:20分程度が推奨されています。
- 節酒:エタノールとして男性:20-30 mL/日以下(日本酒:1合、焼酎:0.5合、ビール:500 mL)、女性:10-20 mL/日以下がすすめられています。
酒類のエタノールの換算式
エタノール量:0.8×節酒量×アルコール度数(%)/100
- 禁煙:いわずもがな、です。タバコは万病の素だからです。
- 睡眠時間:6-8時間が適切です。
生活習慣の改善の要点に関しては目新しいトピックはありませんが、高血圧だけではなく、さまざまな病気の予防と予後の改善に結びついています。理解していることを実行することは困難な面がありますが、みなさん、頑張って下さい。
